初めてのカナダ

Day 5 - '97/07/16 (Wed)

  初めてのカナダ


会議日程も真ん中といったところまで来ている。今日の午前中は、Plenary Sessionで、午後は、通常のsessionになる。関連のあるsessionがほとんどなかったので、昼前からツアーに出かけることにした。Deluxe Montrealというもので、C$40ドル近く払った。この中で、20数ドルの入場料が含まれている(最も、個人で行く場合はこの料金だが)。11:00から5:00の6時間の観光だ。出発する前に、一緒に行ってもらう人を捕まえようとしたが、結果が芳しくなく、結局一人で参加することになった。

運転手がガイドを兼務して、バスに乗っている間はしゃべりまくった。「戻る時には、バスのナンバープレートよりも、このカナダ一ハンサムの顔を見なさい」とジョークを飛ばす人だが、ハンサムであることは確かだ。案内する内容は、同じことを、英語とフランス語を一回ずつ話す。私にとって、良く分からない話が多かったが、最低限、集合時間などには気を付けて聞くようにした。ジョークについて、みんなと一緒に笑えるのは半分程度しかなかった。

観光コースは、北米で最も大きい教会と言われる聖ジョゼフ大聖堂(St. Joseph's Oratory)と、モントリオールを一望できる丘であるモン・ロイヤル公園(Mount-Royal)でそれぞれ数分程度泊まって写真を撮ったあと、ノートルダム大聖堂(Notre-Dame Basilica)に向かう。内部の天井は青みがかったエメラルド色で、神秘的できれいでした。中で観光客のほうが多かったが、参拝に来た人もいて、お祈りしたり、蝋燭を付けたりする人がいた。


聖ジョゼフ大聖堂(St. Joseph's Oratory)


ノートルダム大聖堂(Notre-Dame Basilica)

その後、植物園(Botanical Gardens)に向かった。どういう基準で判断したか分からないが、ガイドによれば、これは、ロンドンに続く世界で2番目有名な植物園だそうだ。大きな敷地の中で、数多くの植物が鑑賞できるほか、中国園と日本園があって、親しみを感じる。また、園内に、蝶や昆虫の標本を集めた 昆虫館(Insectarium)があり、子どもが中心に賑わっていた。


植物園内の中国庭園


植物園内の日本庭園

道を挟んで、植物園のすぐ向こう側は、有名なオリンピックス・タジアムだ。 1976年のモントリオール・オリンピックのために建てられた。特に、高い展望台が際立って目立つ。スタジアムの屋根を、吊り上げるようにしているタワーで、斜塔様式のものとしては世界一高い190mだという。ここから、ダウンタウンを含むモントリオール周辺を一望できる。今日は、いい天気に恵まれ、遠くまできれいに見渡せた。モン・ロイヤルに隣合うダウンタウンの高層ビルは、周辺の低い住宅建物といいバランスを取れ、また、すぐ側に流れるセント・ローレンス 川とともに、非常に美しく見えた。


オリンピックスタジアム

ダウンタウンは、税金などの費用が高いこともあって、住まいとしてはそれほど人気がなく、人々はもっぱらその周辺に住んでいるという。2~3階建ての建物がほとんどで、オリンピック・スタジアム・タワーからは、みんなが同じように見えた。多くの樹が植えられて、薄赤や黄色系の建物と見事な調和が取れていると感じた。

オリンピック・スタジアムのすぐ隣がバイオドーム(Biodome)だ。地球のさまざまな環境を巨大なドームの中に再現したユニークな動植物園だ。展示内容は、熱帯森林の動植物、ローレンシャン森林の動植物、セント・ローレンス川のエコシステムと、北極の世界と大きく別れ、出口では、特に、セント・ローレンスの汚染対策について展示やビデオを通して訴えていた。

ツアーは、皆さんが時間厳守で予定通りに運ぶことができた。ここモントリオールでは、渋滞というものがあまりないことも大きな要素だろう。

ツアーバスから降りるときに、皆さんが運転手兼バスガイドにチップをあげていることに気付き、慌てて小銭を用意した。ジョークを飛ばし続けるこの人に 皆さんも好感を持ったのだろう。一方、一人数ドルずつのチップが、集めれば一日恐らく100ドルは超えるだろうし、カナダでは税金が高いことを考えると、本収入よりもチップ収入のほうが多いかもしれない。

これで、モントリオールの主な観光スポットを廻ったことになるが、サン・テレーヌ島(St. Helen's Island, フランス語ではIle Ste. Helene)に行ってないのが気がかりになった。セント・ローレンス川にあるこの島は、モントリオールにおける英仏の領土争いの舞台になったところで、当時の様子を展示したディヴィット・スチュワート博物館(David M. Stewart Military Museum)があるそうだ。また、モントリオールは、美術館や博物館が多いことでも知られている。

ツアーから会場のクイーン・エリザベス・ホテルに戻り、IEEE AP-Sの授賞晩餐会に出席する。切符は、今朝購入したのだが、最後の一枚と言われた。同じテーブルに、北大の伊藤先生や、Washington大のIshimaru先生、アンテナの会社を経営しておられるWang氏、東芝の庄木氏などと同席でき、歓談できた。

コースを食べ終わるところで、授賞式が行われる。アンテナ界では名高いRonald W. P. King先生には、Graduate Teaching Awardが送られた。92才という高齢のKing先生が登壇して賞を受けるとき、会場の人が立ち上がって盛大な拍手を送った。その後も、授賞が延々と続き、終わったのが10時ころになった。

Day 6へつづく


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