初めてのカナダ

Day 8 - '97/07/19 (Sat)

  初めてのカナダ


今日も、4時すぎに起きた。5時間は寝ているので、こんなところか。起きてから、持ってきた文庫の最後の一冊を読んだ。それを、ごみ箱に捨てて、荷物を片づける。

来たときより少し荷物が増えた。一番大きいのは、多分昨日買った帽子だろう。来たときにはバッグに入れてあったリュックを取り出して、背負うことにした。

このホテルは、結構気に入った。出かけるときに、厨房を改めて見ると、鍋や包丁、スプーンなどの食器がちゃんと揃っていることに気付く。一度も使わなかったことに、もったいないという気持ちが湧く。

7時半すぎ、下に降りて、チェックアウトの手続きをする。と言っても、鍵を返すだけだった。昨日も予約を入れているが、フロントの人がタクシードライバーに電話をして、すぐ来てもらうようにした。どうも、個人タクシーのような感じで、ホテルの人と連携を取っているようだ。車は立派のものだったが、 降りるときC$30を要求された。

空港でチェックインをするとき、大きめのバッグも機内に持ち込むようにお願いして、了解してくれたが、搭乗手続きをするときに、大きすぎると言われた。入り口のところに箱が置かれており、これに入らないような大きものは機内に持ち込めないと言われた。こういう客観的な基準があると、いうこともないので、カウンターに戻って、バッグを預けてきた。カウンターの近くにも同じ箱を置いてあり、何人かは、荷物をそこに入れて計るように言われた。なぜ、先ほど私がチェックインする時に言わなかったのだろうか。

1時間ほどの飛行で、トロントに着く。日本から来た時にもここで乗り継いだ。

空港を出ると、財布の中身が少ないことに気付く。タクシー代が足りないことはないだろうが、念のためバスを使うことにした。3つのターミナルで次々と止まり、市内に着いてからも、それぞれのホテルに止まったので、時間は幾分余計にかかった。

それでも、ホテルをチェックインしたのが、2時前だった。部屋がまだ使えないので、荷物をボーイに預けることにして、市内に出かけることにした。

まずは、地下鉄に乗って、ロイヤル・オンタリオ博物館(Royal Ontario Museum, ROM)に入った。

ROMは、1階は、中国に関するものがあった。この博物館に入って、まず訪ねるところに中国の歴史や文化に関するものを展示してもらえることに誇りを感じた。ここでは、中国の陶磁器はもちろんのこと、昔の家具や書斎なども展示された。中国の壁画や道教彫刻などは、中国でもあまり見られない。また、中国の古代の墓の模型も実物大で展示してあった。

1階には、ダイヤモンドなどの宝石類の展示があり、また、数多くの鉱物展示 があった。前者は、そう規模の大きいものではないが、37カラットのダイヤモンド・ネックレスを女性が見るとやはり魅了することだろう。

地下1階は、カナダ自身の歴史や文化に関するものだが、展示している内容は非常に少なかった。これだけ、歴史が浅いということだろうか。一つの展示室では、日系人移民の歴史に関するもので、今世紀初期の第1世代から、現在生まれつつある第5世代について、それぞれの代表者の写真や、各期間の特徴を 紹介している。特に、第2次世界大戦中は、日本とカナダが敵国となったため、大変苦労された様子で、つい最近までその補償などで交渉をして来たようだ。

2階のテーマはライフ・サイエンスだ。虎、ライオンからあひる、蝙蝠まで、色々な動物の模型が置かれ、また、化石の展示なども多くあった。

3階は、地中海とヨーロッパに関するものであった。地中海の部分では、エジプトとギリシアが大きなウェイトを占める。ミーラの実物を置いて、死後ミーラにする理由とその工程を説明している。ヨーロッパの部分では、1世紀ほど前の食器、服装などに興味を持った。

ROMでは、教育を中心に考えているようで、展示品のなかで、模造品が多かった。一方、各展示品に関して、英語とフランス語で丁寧に説明している(残念ながら、私に分かる内容が少なかった)。

駆け足でROMを回り、そのままトロント大学に向かった。どこからがトロント大学の敷地なのか良く分からなかったが、最後のキャンパスを見てみると、びっくりしてしまうほどだ。ROMがトロント大学のキャンパスに挟まれており、ROMを出たところからトロント大学のキャンパスに入った、と言っていいくらいだ。東西、南北ともほぼ1キロの方形キャンパスに加え、アベニュー通りを挟んだ向こうにさらにカレッジのキャンパスがある。ガイドブックによれば、トロント大学では、4万人を超す学生が在籍する、カナダ最大の大学だそうだ。キャンパスのなかで、古き建物も点在し、非常にきれいだった。ここの学生をうらやましく思った。


トロント大学キャンパス

次は、オンタリオ湖を見たくて、地下鉄でユニオン駅に向かった。ユニオン駅は、鉄道VIAの駅であり、日本で言えば大きいな駅のはずだが、カナダでは国土が広く、飛行機に頼るところが多いせいか、それほど混雑はしていないようだ。

ユニオン駅を出て、さらに南に向かって10分ほど歩くと、トロント内港 (Toronto Inner Harbour)になる。途中で、キャッスルの名の付く高層ホテルが林立し、オンタリオ湖を一望できることを売りにしている。


フェリーから見たトロント

トロント内港からは、トロント島(Toronto Island)に遮断されて、オンタリオ湖はほとんど見えない。そこから、島に行くフェリーがあり、それに乗って渡った。トロント島はそのほとんどがみどりの巨大な遊園地であり、家族連れなどの人々で賑わった。10分ほど歩くと、無限に広がるオンタリオ湖が見えた。この広さは、まさに海といいたいところだが、海の潮風がない分、非常に気持ちよかった。更に、そこでレンタル自転車を借りて、近くを廻った。ヨットがずらっと並ぶヨットクラブ(Royal Canadian Yacht Club)では、会員制のため立ち入り禁止という標示があり、金持ちの世界だと、感心する。


トロント島

オンタリオ湖の水

帰りのフェリーはかなり混雑し、一便待ってやっと乗ることができた。フェリーを渡った時には、8時近くになったが、それでもまだ夕日がさしており、明るかった。

ユニオン駅から地下街を通って歩いていたが、この時間では店も全部閉まっており、地下街を歩く人も少なかったので、不気味になって地上に出た。旧市役所あたりを通り、ホテルに入る。

トロントは、全体として、現代都市というイメージが強かった。今朝までいたモントリオールに自然に比較してしまったからかも知れない。モントリオールでは教会などの古い建築が点在するのに対し、ここトロントでは、トロント大学など一部のところを除いて、ほとんどが近代的な建物だ。

ホテルで少し落ち着いて、中華街に向かった。しかし、だんだん暗くなって来たので、本当の中華街(?)までたどり着く元気がなく、近くの中華料理店で食事を取った(この辺からすでに中国色が強く、恐らく中華街の一部として考えていいだろう)。ウェイトレスは福建省から半年前に来たそうで、ここでアルバイトをしているのだ、と言った。

ホテルのフロントに、ナイアガラ滝に行くバスのことを聞いたら、ボーイに聞くようにと言われた。ボーイは、ホール内の旅行カウンターのツアーは90ドルだが、自分が知っているところでは55ドルで行ける、と紹介してくれた。しかし、電話をしてみたら、すでに満員になったので、明朝、旅行カウンターに 高いほうのツアーを申し込むしかない。

また、ホテルでアメリカドルのT/Cを交換したところ、100ドル分は交換してくれたが、更に100ドルを交換しようとすると断られた。お金がないという。ここでは、カードで決済する人がほとんどで、彼女が言っているのが本当かも知 れない。

ホテルの部屋に戻るのはすでに11時ころだった。長い一日だった。

Day 9へつづく


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